私は、何とかして食事をする場所は、畳を敷くように考えていたのです。理由を聞いてみると、答えは簡単で、年をとると畳に座ってからどっこいしょと立ちあがるのと、椅子に腰をかけて立ちあがるのとを比べると、椅子の方が膝にかかる負担がずっと少なくて済むと言うのです。そこで、あまり背の高くない両親のためにテーブルを特注、椅子の脚を切るなどして、ダイニングセットを用意しました。ここで良い勉強をしたのは、住宅の仕事をしている私が、どうしても計画の中心になってしまうのですが、私が勝手に想像して物事をきめてしまってはいけないということです。たとえば、両親は明治生まれだから、和室にするなどときめてしまってはいけないということです。とにかく、できるだけ本音を聞くために努力することが大切です。新しく建てる住宅に住む人全員の本音を聞くことです。お菓子の空き缶に希望を入れてもらうことなどは、その点では大変良かったことです。普通、ある日突然に、どんな住宅にしたいかと聞かれても、そんなに簡単に答えられません。建築士の先生方は、それをゆっくり時間をかけて聞き出します。それが上手な建築士は、住み良い住宅の設計をします。だから、住宅メーカーに住宅を依頼する時には、依頼する方が希望をまとめておくのです。そうすれば、自由設計をしている会社ならば、思い通りの設計ができてくるはずです。私は、家族の希望をまとめて簡単な間取り図をつくってみました。ところが、家族全員で見に行った永福町に建てられたそのモデルハウスが、基本的にはその図面と同じだったのです。私は、他のメーカーからもプラン集をたくさん集めました。ところが、どのメーカーにも同じ考え方があてはまるものがあるのです。そこで考えたのは、素人かプランをつくる時には、メーカーのプラン集の中から選んで手直しをして自分の家のオリジナルにするという方法です。メーカーのプラン集は、少なくとも本職の建築士がつくったプランです。素人がああだこうだとつくったら、無駄な部分だらけということもあります。ここでも、専門家にまかせる所はまかせた方が良いということがわかります。
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