全国不動産総合ブログ

住宅は多少「普通ではない」ほうが面白い

2011.12.03

私は車を持っていないが、わが家のオーディオービジュアルの設備投資額は全部合わせても国産中型車に及ばないし、車検も税金もガソリン代もかからないのだ。設計をする立場からしても、住宅というものは多少「普通ではない」ほうが面白い。たとえばオーディオーマニアの人はオーディオルームの防音防震に費用を惜しまない。そのために予算超過して、他の部分の仕上げを、純毛のカーペットを化繊にするとか、設計者としては血を吐く思いで工費を削ったが、住宅が完成したとたん、その住み手が一五〇万円のスピーカー(しかもこれは一九八〇年代初めの値段だ)を買ったなんてことがあり、その時には「そのお金をなんで建築に使ってくれないの」といささか憤ったのだが、後から考えると、そういう暮らし方に共感を覚える。

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自由業的な「時持ち」の家にはこの種の「普通ではない」要素がままあって、その後も通常のガスレンジに加えて一万二〇〇〇キロカロリーの業務用レンジのある料理好き夫婦の家とか、夫人が大幅の書を書くため、床暖房した広い板の間と筆洗いの流しのついた部屋のある家などを手がけ、これらはいずれも楽しい仕事だった。現在は蔵書家で本棚の延長が二五〇メートル要るという方の家を苦労しつつも楽しんで考えている。「普通ではない」ことに投資すると、その余のことは基本性能さえ備わっていれば見映えなどどうでもよくなるものだ。わが家にしても電気炊飯器は結婚以来のつきあいで、中蓋のつまみが取れてしまい、その穴に割箸を突っ込んで跳ね上げないと蓋があかないのだが、妻も家族も、新しいファジー炊飯器など買うつもりなど当分ないようである。もっとも、ハイービジョソは映画ソフトが充実すると買いたくなるだろうが……。