床下収納を希望するのは、圧倒的にご主人が多い。「キッチンが狭いとか、収納が少ないと文句ばかり言っているが、床下や頭の上にはこんなデッドスペースがあるじゃないか。もっと立体的に考えてみろよ」などと言って、私たちの前で奥さんに説教を始めることもある。デッドスペースの活用と聞けば、たしかに合理的に聞こえる。空間を立体的に使うのも、小さな住宅の設計では基本である。しかし、彼らの意識からは、主婦の日常的な家事労働が実際はどんなものであるかが、完全に抜け落ちている。
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じつを言えば、床下収納ほど無用なものはない。無駄なだけならまだいいのだが、危険きわまりない。床下収納は、ビールをケースごと収納したり、酒や醤油の一升瓶を置いておくのに便利だとされている。しかし実際にあの床下収納から重いビール瓶や一升瓶を出し入れする姿を考えていただきたい。狭いキッチンの通り道で、テーブルの脚やゴミ箱をよけながら、自分のお尻の位置も定まらないまま、無理な姿勢で上半身を突っ込まなければならない。