住宅設計を通して住まいを見ると、さまざまな現象に出会いますが、近年多い夫婦別寝室、家庭内別居や主婦の専用室、子ども部屋優先の住まいづくり、父親の住まいでの居場所の喪失など、社会や家庭における家族個々人の存在感や力関係の変化が、住まいにそのまま映し出されています。父親には、外の社会でのストレス、例えば会社でのリストラ、その結果の残業、早期退職や賃金カットなど、心に大きな負荷がかかっており、いつの間にか心のバランスを崩し、病気になったり耐え切れず自殺してしまう人が増えつつあります。
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そんな社会状況の変化は、家庭の中にも確実に波及し、過剰な仕事による父親の家庭不在どころか、会社が終わっても自宅に帰りたくない帰宅拒否症候群さえ生んでいます。もちろん、夫と妻・子どもの距離の取り方も非常に難しくなり、夫婦間の理解不足やコミュニケーション不足を原因とする、離婚や家庭崩壊も多くなっています。特に注目したいのは本来、住まいこそ夫にとって、一日の疲れを取り、自分を取り戻せる場であるはずなのに、その住まいの中に自分の居場所を見出し得ず、安らぎの場になっていないという実態です。