住宅設計は、やりやすい反面、また危険も大きい。住宅の難しさは、何よりもその「家族」の状況によってすべてが変わってくることである。「家族」は成長し、年をとり、変化する。この変化が、当初の設計要項を基本から覆し、時には消滅することも、二つに分裂することさえある。年をとるということは、社会的状況も変わり、肉体的にも精神的にもすべてが変わってくることだ。活動的だった若い時代から、だんだん住まいと密接になり、やがて、住まいから離れられなくなる時がくる。
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その間わずか二十年、若いころ気づかなかった住まいの欠陥は、その時集中して表面化する。住まいを住むための容器や構造として考えた殼の時代から、家族のメカニズムに触れた皮膚の時代への移行を、私は大きく感じている。こうしてみると、住まいは、住むこと、生きることと密接な係わりがあることがわかる。皮膚といっても、何もふにゃふにゃしたテントやラテックスの住まいを考えるのではなく、今のコンクリートの住まいのままでも充分なのである。つまり、ハードとしての今の住まいを、住まう側の知恵でソフトに溶かしてしまえばよいのである。杓子定規な今の平面的な住まい方に、立体的かつ時間的な融通性を持たせ、科学を応用し、心理的にも生理的にも空間を拡大、縮小すれば、かなりソフトな皮膚感覚になるはずである。